参加者による報告

生命の起原に魅せられて
2012年生命の起原および進化学会 夏の学校 学生幹事 開催後記

浜地 心、根本遼平、堀越達也
東京理科大学大学院 基礎工学研究科 生物工学専攻 修士課程2年
  今回は「生命の起原および進化学会 夏の学校」の学生幹事を務めさせて頂きました。
  まずは参加していただいた皆様方、お疲れ様でした。私達幹事の力不足でご迷惑をおかけした部分も大きかったかと思います。 学会の期間中は「生命の起原・進化」というコンセプトのもと、様々な分野の方にお話を頂き、学ぶ事の多い2日間になりました。また私達にとっては実際に「進化を科学する事の意味」を考えさせられた時間でもありました。
  現在、科学は徐々に細分化され、世の中には実に多くの専門分野が存在しています。しかし、その全ての分野に共通しているのは「まだ分かっていない事を明らかにする」という理念です。日本からも多くの大発見が生まれていますが、「進化を科学する事」と他の多くの専門分野には少し異なる部分が存在すると私達は考えています。
  それは、「立てた仮説が正しいかどうかを誰も確かめることが出来ない」という事です。 化学や物理に代表される多くの分野は、立てた仮説を証明していく事で1歩1歩前に進んできました。しかし、「進化」という分野においては、どれほどその仮説が確からしく完璧に思えても、それを証明する手段を現在の人類は持ちあわせてはいません。これはこの分野の研究を難しくしている要因の1つですが、だからこそ研究者は「常識に囚われず研究を楽しむ事が重要である」という事を私達はこの学会で再確認しました。というのも期間中講演して頂いた方々は、その全員がとても楽しそうにご自身のアイデアや研究を紹介して下さいましたし、お互いに嬉々としてディスカッションをされていました。そのような場に身を置き、様々な分野の方々と討論する内にいつのまにか「研究を楽しむ」という事を軽視し、1つの方向からしか物事を考察できなくなっていた事に気付かされました。この経験は私達にとって大きな財産になりましたが、参加された方々も、この学会でなにか1つでも財産になるようなものを持って帰っていただけたなら、幹事としてこんなに嬉しい事はないと感じている次第です。
  最後に、田村研究室で大事にしている言葉を送らせていただきたいと思います。 「Imagination is more important than knowledge.」 証明しようのない、答えの分からない分野を研究しているからこそ、常識に囚われる事のない「Imagination」を大事にしていきたいと、この学会を通して改めて痛感しました。
  今後の「生命の起原および進化学会」の更なる発展を願って、開催後記に代えさせていただきたいと思います。