一般講演10 |
遺伝暗号の進化:ミトコンドリア遺伝情報システムから考える |
横堀伸一 東京薬科大学 生命科学部 分子生命科学科 |
遺伝暗号の起原とその進化は、生命とは何か、生命の起原、といった問題を考える上で重要なテーマである。遺伝暗号の進化研究のアプローチとしては、生命の起原(ないしは化学進化、RNAワールドの時代)からどのように遺伝暗号が確立していったかを検討するアプローチと、現在の遺伝情報システムから過去の進化を検討するアプローチがあげられる。 現在使用されている遺伝暗号表は、ほぼすべての生物で共通である(標準遺伝暗号表)。しかし、標準遺伝暗号表から一部逸脱した遺伝暗号表は、様々な生物、細胞小器官で見られる。これらの変則的な遺伝暗号表は、標準遺伝暗号表から進化したものであると考えられる。よって、変則的な遺伝暗号表がどのように成立したか、その歴史とその物質的な基盤を明らかにすることは、どのように遺伝暗号が進化するのか、その可能性と限界を明らかにすることでもある。本発表では、特にミトコンドリアに見られる遺伝暗号の多様性について、その進化を考察する。 図:現在知られる遺伝暗号の多様性。Watanabe & Yokobori (2011)を改変。 |