「生命の起源および進化学会」若手夏の学校の報告

松本徹(幹事・博士課程1年)
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻
〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-1
E-mail: matsumoto@astroboy.ess.sci.osaka-u.ac.jp

   9月3,4日の二日間に渡り,「生命の起源・進化学会」若手夏の学校が大阪大学豊中キャンパスにて開かれました.夏の学校への参加は初めてでしたが,今回幹事を担当させて頂きました.当日,大阪は折しも台風12号の直撃に見舞われましたが,参加者のみなさんは強風・豪雨に負けず出席して下さいました.飛び入りでの参加もあり,4回生の姿も多く,生命起源に関連する研究分野への関心の高さがうかがえます.サイコロを使った自己紹介を経て,和やかな雰囲気で夏の学校が始まりました.
     招待講演では,国立天文台の福江先生と広島大学の長沼先生にご講演して頂きました.長沼先生は,ご自身の研究半生のお話を交え,生命の発現がいつ,どんなきっかけで起こったかについて,地球上・地球外にわたる様々な可能性を提示されました.福江先生は,生命原材料物質であるアミノ酸のキラリティ発生の起源に関連して,星雲の近赤外偏光観測の研究について概説して下さいました.講演を聞き,有機物進化の道筋として,様々な場,物理化学的な経路が考えられることを再認識しました.同時に,生命起源の探求は,現段階で生命発生のプロセスの解明に決定打を与える研究がまだなく,様々なアイデアが群雄割拠している混沌とした戦国時代のような分野であると感じました.
            学生による発表では,太陽系外,惑星・隕石母天体,地球上での有機物質をはじめとする物質進化に関連した広い範囲に及ぶ研究成果が紹介されました.私の研究分野である隕石・惑星物質科学と扱っている現象が全く異なり,なじみの薄い研究もあり,私にとって今回の夏の学校は異分野の研究を知ることができる貴重な機会となりました.
     夕方の懇親会では,構内にて大阪名物,お好み焼き・たこ焼きパーティを開きました.参加者で手分けして食事の準備を行い,大人数用の食材の量は圧巻で大変ではありましたが,楽しく親睦を深めることができたと思います.研究発表だけでなく,他大学の異分野の学生と交流しお互いの価値観や研究生活を知ることでき,今後の研究を進める上で大きな励みになりました.

     今後も,生命起源のテーマは,宇宙地球科学やその他の分野でホットであり続けると予想されるので,「生命の起源・進化学会」若手夏の学校がさらに充実し,私たちに知的な刺激を与えてくれることを期待します.


福江翼先生の講義.

長沼先生とディスカッション.

懇親会で打ち解けあう学生たち.

たこ焼きをつつく幹事の坂田さん(博士1年).

Return to Japanese Contents

Return to English Contents