10th ISSOL meeting体験記
塩田 大(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻博士課程)
6/30から7/5までメキシコのオアハカ(OAXACA)で開催された学会(10th ISSOL meeting)の体験記です。開催地となったオアハカですが、高地(1000m以上)にあるせいか、気温が20数度と比較的涼しくすごし易い所でした。学会会場となっていたのは高台にあるホテルで、オーラル用のホールとそれに隣接したポスターホールという構成でした。学会はマルチセッションではなく、ひとつの会場ですべての講演が行われました。また、特別プログラムとして3日目の午後に会場からバスで20分ぐらいの山中にある、Monte Albanという紀元前500年頃からの歴史をもつ遺跡へのツアーがありました。学会全体の参加人数はおおよそ200人くらいだったと思います。オーラルセッションで扱われたトピックは、地球外空間での有機物合成に関するもの、原始地球環境に関するもの、前生物的合成に関するもの、原始細胞に関するもの、ゲノミクスに関するもの、初期生命化石に関するもの及びアストロバイオロジーに関するものがあり、生命の起源に関する様々なアプローチがある程度概観できたと思います。セッションの中には通常の講演以外に、レクチャーやラウンドテーブルが設けられているものがあり、専門外の分野でもそのトピックの全体像がつかみやすくなるように配慮されているのかと期待していたのですが、ラウンドテーブル内の講演同士に統一感がかけているものが多く、レクチャーについてもとくに概観するということを念頭においているわけではなかったようで、各セッションのトピックについて、全体としての描像をつかむようなものになっていなかったのが残念でした。
現在の学会の主流はRNAワールド仮説にのっとった、RNAの伸長反応にあるようで、それに関する発表が多かったのですが、自分にとっては原始細胞に関するトピックがもっとも興味を引かれた発表でした。普段自分が参加している学会は、所属が地球惑星科学専攻ということもあり、地質や地球化学の学会の一部で生命の起源に関連したことを発表しているというような、どちらかといえば多少場違いな感もあったのですが、今回参加した10th ISSOL meetingでは、当然ですがメインテーマが生命の起源なので、自分の研究のヒントになるような発表がいくつかあって、大変参考になりました。
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