Viva Origino Vol.43 No.1
Synthesis of complicated organic matters in Titan’s atmosphere and its signification for astrobiology

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1, 2 Jun Kawai, 1 Yoko Kebukawa and 1,3Kensei Kobayashi
1 Department of Chemistry, Yokohama National University, Hodogaya-ku, Yokohama 240-8501, Japan,
2 Foundation for Applied Molecular Evolution, Gainesville, FL 32601, USA,
3 National Institutes of Natural Sciences, Minato-ku, Tokyo, 105-0001, Japan
Jun Kawai e-mail: jkawai@ffame.org
(Received: December 17, 2014, Accepted: June 22, 2015)




タイタン大気中でのソーリン(複雑有機物)の生成とそのアストロバイオロジー的意義

河合純1,2、癸生川陽子1、小林憲正1,3

1横浜国立大学大学院工学研究院、
2Foundation for Applied Molecular Evolution、
3自然科学研究機構新分野創生センター

Abstract Titan is the largest satellite of Saturn, which has dense atmosphere of nitrogen and methane and liquid hydrocarbon lakes on its surface, is one of the most interesting bodies for astrobiologists. A great number of laboratory simulation experiments have been conducted to understand possible chemical evolution pathways occurring in Titan's atmosphere, and complex organic compounds sometimes referred to as tholins were formed in them. Furthermore, it is suggested that biomolecules such as amino acids could be derived from tholins. In this paper, we reviewed Titan’s organic chemistry observed in Voyager and Cassini-Huygens missions, together with laboratory experiments simulating possible organic reactions in Titan atmosphere and liquidosphere (corresponding to the hydrosphere on Earth), and discuss the possibility of generation of life on Titan.

Keywords: Titan, tholins, astrobiology, atmosphere, liquidosphere

はじめに

  タイタンは、土星における最大の衛星であり、太陽系において地球以外で唯一、濃厚な大気と表面にまとまった量の液体を保持する天体である。探査機Voyagerの探査により、表面の気温は約94 Kと見積もられ、また、気圧は約1.5 bar、平均直径が約5150 kmであると分かった。タイタンの大気組成は、Voyager探査機に搭載された赤外放射干渉計(Infrared Radiometer Interferometer Spectrometer; IRIS)、赤外線天文衛星(Infrared Space Observatory; ISO)やCassini探査機に搭載された複合赤外線分析計(Composite Infrared Spectrometer; CIRS)により分析され、主成分として窒素が、副成分としてメタンが含まれていることが分かった (Table 1) [1]。

table1


   タイタン大気中での反応に関わるエネルギーに関して、Sagan and Thompson[2]によって太陽からの紫外線放射、土星磁気圏にトラップされた高エネルギー粒子、そして宇宙線等が見積もられた(Figure 1)。

figure1
Fig. 1 Altitude, pressure, temperature and energies on Titan atmosphere [3]. The main energy sources are considered to be; vacuum ultraviolet in the ionosphere (more than 600 km), magnetospheric electrons in the upper atmosphere (400 km – 800 km), near ultraviolet in the stratosphere (100 km – 300 km) and cosmic rays in the troposphere (0 – 50 km).

   Voyager 1号によってタイタンの大気中にはオレンジ色の霧 (Haze) が存在することが確認されたが、Sagan [4]はこれが大気成分から種々のエネルギーにより生成した有機物であると推測した。
   Cassini-Huygens探査機は土星探査の目的で打ち上げられ、Huygens探査機はタイタン上空で切り離され、タイタンに着陸した。Cassini探査機は土星を周遊しタイタン上空から観測している (Figure 2)。

figure2
Fig. 2 Titan's surface observed by Cassini probe (NASA/JPL) [8]. The dark depressions on Titan surface are considered to be lakes with liquid ethane and methane.

   Huygens探査機に搭載されたエアロゾル捕集熱分解装置 (Aerosol Collector and Pyrolyser; ACP) によりエアロゾルが採取され、熱分解後にガスクロマトグラフ質量分析計 (GC/MS) にて分析され、その結果、シアン化水素(HCN)やアンモニア(NH3)が検出された[5]。
   Cassiniに搭載された可視光・赤外マッピング分光計 (Visual and Infrared Mapping Spectrometer; VIMS)やレーザー画像により、北極の近くに液体を含む湖が発見された[6]。その後、低緯度地帯にも湖が発見された[7]。湖水の成分としてはすでに液体エタンが検出されているが、大気組成やタイタンの表面温度から考えて、これらの湖には液体メタンも含まれると考えられる。また、丸いくぼ地のような地形が見つかっているが、これは地下からプリュームが噴出して形成されたこと、つまり低温火山が存在することが示唆された(Figure 2)[8]。
   タイタンの土星に対する自転速度により、地下にアンモニア水からなる地下海があることが示唆された[9]。また、Huygensに搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計(Gas Chromatograph /Mass Spectrometer; GC/MS)のデータから、地下に含まれるアンモニアが窒素の供給源であることが示唆された[10]。タイタンの地下の温度や圧力から、アンモニア水が液体でいられる濃度が見もられ、その濃度は15 wt%以下であると推定された[11]。
   以上に述べたように、タイタンは、豊富なエネルギー・有機物・液体という生命存在に必須とされる3要素が存在していることが確認されており、アストロバイオロジー研究者により最も注目されている天体のひとつである。タイタンの生命誕生の場としての重要性を調べるには大気中での有機物生成に加えて、液体圏(タイタン表面に存在する液体エタンや液体メタンを含む湖および、タイタンの地下に存在すると考えられるアンモニア水の地下海で、地球の水圏に相当する)での有機物挙動の解明が不可欠である。
   本論文ではまず、タイタン大気圏を模擬した有機物合成実験を、特に複雑有機物(ソーリン)の分析や、生体関連有機物生成の可能性を中心に紹介する。次に、タイタンの液体圏を模擬した実験の結果から、大気中で生成した有機物が液体圏でどのような化学進化をする可能性があるのか、生命の誕生はありうるかを議論する。

タイタンの大気圏を模擬した複雑有機物の生成

  タイタンの上層大気での反応を模擬した有機物を生成するため、エネルギーの種類、ガス組成、圧力、フロー系か閉鎖系であるかなど、種々のパラメータを変化させた実験が行われてきた(Figure 3)。本章では、これまでに行われてきた様々な条件でのタイタン大気模擬実験と、実験条件による生成物の差異について述べる。

figure3
Fig. 3 The groups that have been conducted the simulation experiments on Titan’s upper atmosphere (Modified from [12], N8, N11, N12, N14, N15 are added). N1: Sagan’s team, N2: NASA Ames team, N3: Raulin’s team, N4: Navarro-González‘s team, N5: Ferris’ team, N6: Smith’s team, N7: Kobayashi’s team, N8: NASA Ames team, N9: PAMPRE team, N10: Centro de Astrobiologıa Team, N11: Colorado University team, N12: Sekine’s team, N13: SETUP team, N14: LNLS team, N15: JPL team DC: Direct current glow discharge, AC: Alternate current glow discharge, ICP: Inductively Coupled Plasma - Radio Frequency discharge, CCP: Capacitively Coupled Plasma - Radio Frequency discharge, Proton: Proton irradiation, γ: gamma irradiation, UV: ultraviolet light irradiation.

   エネルギーの種類に関しては、タイタンの高度により、太陽からの紫外線、土星磁気圏に捕捉された高エネルギー粒子(主として電子)、宇宙線、天体衝突など、主となるエネルギーが異なる(Figure 1)。 Sagan and Khare [13] はタイタン大気を模擬した窒素・メタン混合ガスに紫外線照射や放電を行った。放電により茶色の粘性のある有機物が生成し、これは、ギリシャ語で「泥のような」という意味のソーリン(tholins)と名付けられた。一方、紫外線・真空紫外線(Ultraviolet/Vacuum Ultraviolet; UV/VUV)照射では多様な炭化水素が生成するが、窒素分子を含むニトリルやソーリンは生成しない。これはUV/VUVでは窒素分子の分解が難しいからであり、窒素を含む有機物の合成は、より高エネルギーの極端紫外線(EUV)や軟X線の照射が必要である[14]。
   Collら[15] は89 %の窒素、11%のメタンの混合ガス(900 hPa)中でテスラコイルを用いて火花放電を行った(Figure 4)。生成した気相生成物をGC/MSで分析したところ、タイタン大気中に検出されていた成分(エタン・シアン化水素等)を検出することができた。Coll ら[16] は 2 % のメタン、98%のメタンの混合ガス(~200 Pa)を直流(DC) グロー放電に曝し(Figure 5)、GC/MS やフーリエ変換型赤外分光 (Fourier Transform Infrared Spectroscopy; FT-IR) により、気相生成物やソーリンの組成について調べた。その結果、気相生成物中にはジシアノアセチレン(C4N2)が含まれていることを初めて示した。また、ソーリンはニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)に溶解することから、部分的にHCNポリマーで構成されていると推測した。

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Fig. 4 Synthesis of tholins by spark discharge with a Tesla coil [15]. A mixture gas of nitrogen (89%) and methane (11%) at 900 hPa was exposed to spark discharge using a Tesla coil. In this closed system, it is easy to observe changes of the gas composition.
figure5
Fig. 5 Glow discharge Simulated on Titan’s atmosphere [16]. A mixture gas of methane (2%) and nitrogen (98%) at ~ 200 Pa was exposed to DC glow discharge at low temperature.

   Ramirezら[17]は90 %の窒素、10 %のメタンの混合ガス(670 hPa)に対して様々なエネルギー (レーザー誘起プラズマ放電、ガンマ線照射、コロナ放電、アーク放電等)で照射し、生成された有機物を用いて、GC/MSやFT-IRで分析したデータを比較した。エネルギーによって生成される有機ガスの種類や生成量が異なり、例えば、レーザー誘起プラズマ放電では不飽和化合物が生成しやすく、ガンマ線照射では飽和化合物が生成しやすい、などの違いが見られた。全体として、タイタン大気中に見つかっているほとんどの分子種を検出することができた。
   NASA Ames Research Center (Figure 3, N8) のImanakaら[18]は90 %の窒素、10 %のメタンの混合ガスの全圧を13 – 2300 Pa (高度280 km– 75 kmに相当)として、誘導結合プラズマ高周波(Inductively Coupled Plasma Radio Frequency; ICP-RF)放電でソーリンを合成し(Figures 6, 7)、分析したところ、より低圧の場合に含窒素複素環式化合物が容易に生成されることが分かった。フランスにあるLATMOS (Laboratoire Atmospheres, Milieux, Observations Spatiales)のプラズマ放電装置PAMPRE (Production d'Aérosols en Microgravité par Plasma Radio Fréquency) (Figure 3, N9)では、容量結合型プラズマ高周波(Capacitively Coupled Plasma - Radio Frequency; CCP-RF)放電によるソーリン合成が行われた。Quiricoら[19]は窒素とメタンの組成比(N2:CH4= 90:10, 98:2, 99:1)を変えて、全圧を100 Paに保ち、CCP-RF放電で生成したソーリンを分析したところ、メタン分圧が低いほど生成物に窒素原子が多く含まれることがわかり、組成比によっても生成物に違いがでることが示された。
   以上のように、パラメータ(エネルギーの種類、ガス組成、圧力)を変えるだけでソーリン(タイタン大気圏を模擬して生成される有機物)の組成に影響を与えることが分かっている。これらの違いは、液体圏での化学進化を考える上でも大きく関わってくる。

figure6
Fig. 6 Schematic of Inductively Coupled Plasma Radio Frequency (ICP-RF) [18]. A mixture gas of methane (10%) and nitrogen (90%) was flowing in the chamber with the pressure fixed at 133 Pa and exposed to a plasma discharge. The products (tholins) were deposited on a glass slide, then collected using a clean rod.

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Fig. 7 Experimental Device of Inductively Coupled Plasma Radio Frequency (ICP-RF) (NASA Ames Research Center).

種々の新手法によるタイタンソーリンの分析

  近年、複雑な有機物の分析法として、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計 (Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance Mass Spectrometry; FT-ICR MS) や微小プローブレーザー脱離イオン化法質量分析法 (Microprobe Laser-desorption, Laser-ionization Mass Spectrometry; μL2MS)などの新手法が開発された。これらを用いて、タイタンソーリンをより精密に分析する試みがなされている。本章では、近年明らかになったソーリンのより詳細な分子構造や、その性質について述べる。
   アリゾナ大学のSmithらのグループ(Figure 3, N6) では交流(AC) グロー放電によりソーリンを生成している。Sarkerら[20]やSomogyiら[21]は、窒素とメタンの混合ガス (N2:CH4= 95: 5) に195 KでACグロー放電し生成物をメタノール・アセトニトリル混合溶液 (1:1) に溶解させ、エレクトロスプレーイオン化 (Electrospray Ionization; ESI) -FT-ICR MSで分析した。その結果、溶解したソーリンには、不飽和結合を含む分子や官能基としてアミノ基やニトリル基が含まれることがわかった。Hodyssら[22] は、ソーリンをアセトニトリルに溶かすと、最大励起波長410 nm、最大蛍光波長471 nmの自家蛍光を有することを示した。水に溶かした場合は、最大励起波長335 nm、最大蛍光波長397 nmであることがわかった。この結果は、溶媒の種類によって溶けるソーリン中の蛍光物質が異なることを示す。He ら[21,22]は13C や15Nの同位体でラベルしたメタンと窒素を用いて同様な方法でソーリンを合成し、これをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし、核磁気共鳴法 (NMR)により構造分析を行った。その結果、ソーリンにはアミノ基、イミノ基、ニトリル基、含窒素複素環などが含まれていることがわかった。
   NASA Ames Research Center (Figure 3, N8)のMcGuiganら[25] は、ICP -RF放電により生成されたソーリンについて、これらには難溶解性化合物が多く含まれているため、熱分解GC/MS法によりその分析を試みた。熱分解にて発生したガスを、二次元GC/MSと飛行時間型質量分析法(Time-of-Flight Mass Spectrometry; TOF-MS)により分析し、ニトリルやピロール、炭化水素、ベンゼン、多環芳香族炭化水素 (Polycyclic Aromatic Hydrocarbon; PAH) が含まれていることを示した。Nna-Mvondoら[26] は、生成したソーリンを熱重量測定−質量分析 (Thermal Gravimetric Mass Spectrometry; TG–MS)、示査熱分析 (Differential Thermo-gravimetric Analysis; DTA)、示差走査熱量測定 (Differential Scanning Calorimetry; DSC) を行った。その結果、ニトリル基やアミノ基などの構造基が含まれており、直鎖・分枝構造および環状構造が含まれていることを示した。また、環状構造を持つものより、直鎖を持つ構造体の方が多くを占めていることが分かった。生成した有機物を、酸素や水蒸気を含む大気に長時間晒してもソーリンの主な構造は変わらないことが分かった。
   Szopaら[27]は、CCP-RF放電による生成物を走査型電子顕微鏡 (Scanning Electron Microscope; SEM) 観察し、熱分解GC/MS分析を行った。Quiricoら[19] は、ガスの組成比を変えた実験を行い、紫外線領域ラマン分光計、赤外分光計、X線回折、高解像度透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)等を用いて生成物の分析を行った。赤外やラマン分光の結果からトリア ジン(C3N3)環がソーリンに含まれていることがわかった。
   Carrascoら[28]は、ソーリンをメタノールとトルエンに溶かし大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photoionization; APPI)を行い、ネガティブモードでのMS/MS分析により、ソーリン骨格中に m/z=27(主にHCN-)やm/z=66 (C2N3-; N≡C-N--C≡N)など、窒素に富んだ部位が多く存在することを示唆した。特にC2N3-は高分子量のソーリン生成において重要な役割を果たしたと推測される。
   タイタンの上層大気を模擬しているにも関わらず、上記3つの研究グループともソーリンの生成方法は異なる。しかしながら、ソーリン自体はケロジェンのような複雑な有機物であり、アミノ基やニトリル基を含み、直鎖や環状の構造体、二重結合や三重結合を含む複雑な構造を持つという特徴は共通であった。次の章では、これらの有機物が生体分子として検出され、どのような化学進化をするかについて述べたい。

ソーリンと溶媒との相互作用により生成した生体分子

  地球上の生命に用いられている分子である、アミノ酸 (Figure 8)や核酸塩基 (Figure 9)等のソーリンからの生成を調べる実験が行われてきた。これまでの実験によって検出されたアミノ酸、核酸塩基をTable 2にまとめた。本章では特に、ソーリンに含まれる生体分子について述べる。

Table 2 Amino acids and nucleic acid bases detected in Titan tholins in past examines
table2

   Khareら[29]は、10%のメタンと90%の窒素の0.2 mbarの混合ガスにテスラコイルを用いた直流(DC)グロー放電により生成したサンプルを、6 Mの塩酸で加水分解し、イソプロピルアルコールと無水トリフルオロ酢酸で誘導体化した後、GC/MSにより分析を行い、タンパク質アミノ酸(グリシン、アラニン、アスパラギン酸など)に加えて多種類の非たんぱく質アミノ酸(β-アラニン、α-アミノイソ酪酸、β-アミノイソ酪酸、γ-アミノ酪酸、イソバリンなど) を含む15種類のアミノ酸を同定した。また、確認されたアミノ酸(アラニン・アスパラギン酸など)のD体とL体の生成量にほとんど違いがみられないことを示した。生物由来のアミノ酸はL体過剰であるため、これらのアミノ酸は非生物的に生成されたと言える。
   Nguyenら[30]は、混合ガス (N2:CH4= 98:2) をCC-RF放電し塩酸中で加水分解した後、N-tert-ブチルジメチルシリル-N-メチルトリフルオロアセトアミド (MTBSTFA) により誘導体化した。これらの誘導体化した有機物をGC/MSにて分析し、アミノ酸 (グリシン・アラニン・アスパラギン酸・β-アラニン・α-アミノ酪酸・バリン・イソロイシン) やカルボン酸 (プロパン酸・酢酸)を同定した。
   Pochら[31]も、窒素とメタン(N2:CH4 = 98%:2%) の混合気体をDCグロー放電により有機物を生成した。生成物をアンモニア水に溶かしMTBSTFA誘導体化した場合、GC/MSによりアミノ酸 (アラニン・グリシン・トレオニン・アスパラギン酸) や核酸塩基 (ウラシル・アデニン) が検出された。ソーリンをアンモニア水に溶かさずに、直接MTBSTFA誘導体化して分析した場合、アミノ酸のアラニンや核酸塩基のウラシル等の酸素分子が含まれる有機物が見つかっている。これは合成したソーリンを大気中に取り出して誘導体化をした時に、空気中の酸素や水から酸素原子が取り込まれたと結論づけられた。
   Neishら[32]は、2%のメタンと98%の窒素の混合気体をACグロー放電 (アリゾナ大学) で生成した有機物を253 K、293 Kのアンモニア水に溶かし、FT-ICR MSを用いて分析を行ったところ、イオウ原子を含むシステインやメチオニンを除く多種類のたんぱく質アミノ酸を検出した。また、アデニン・グアニン・チミン・シトシン・ウラシルといった核酸塩基5種の検出も報告されている。しかしながら、外部からの汚染の可能性も考えられるので、メタンを安定同位体ラベルした実験により再確認することが望まれる。
   Horstら[33]は、窒素・メタン・同位体(18O)ラベルした一酸化炭素の混合気体(N2:CH4:C18O = 96.2%:2.0%:1.8%または93.2%:5.0%:1.8%)にPAMPREを用いてCCP-RF放電を行うことによりソーリンを合成した。メタノールに溶かしMTBSTFAにより誘導体化し、GC/MSで分析したところ、アミノ酸(ヒスチジン) や核酸(シトシン・ウラシル・チミン) を検出したと報告している。これらの結果から、ソーリンが分析中に水や酸素と接触し、それらに含まれる酸素分子と反応したことによって、アミノ酸が検出されたと結論づけている。タイタンにも、酸素分子を含む水蒸気や一酸化炭素等が微量ながら存在しており、地下には、アンモニア水が存在している。これらの分子はアミノ酸の生成に関与することが推測される。しかし、通常の化学進化実験で生成しにくいとされる分子が多数検出されているため、その確認のためには出発材料中の炭素同位体ラベルをした実験が必要である。
   Kawaiら[34]は, ICP-RF放電装置(NASA Ames 研究所)を用いてソーリンを合成し、その液体圏での反応を調べた。大気圧を26 Paと133 Paでメタン(10 %) ・窒素 (90 %) の混合気体を用いてICP-RF放電を行った。異なる圧力で生成したソーリン (26 Pa, 133 Pa) を加水分解し、オルトフタールアルデヒド(OPA) とアセチルシスティン(N-AcCys)誘導体化した。高速液体クロマトグラフ(High-Performance Liquid Chromatograph; HPLC) を用いてアミノ酸分析をしたところ、 圧力の違いによって生成されるアミノ酸の種類が異なることが分かった。高圧で生成されたアミノ酸には、バリンやイソロイシンが含まれ、α-アミノ酪酸・α-アミノイソ酪酸・β-アミノ酪酸・β-アミノイソ酪酸・γ-アミノ酪酸・ノルバリンが多く生成されることがわかった。低圧のプラズマの方が、高圧で生成した時に比べ窒素分子(N2+)が多く存在するため、炭素原子を多く含むアミノ酸が生成しにくいと推測される。このことからタイタンの高度によって、供給されるアミノ酸の種類や生成量が異なると考えられる。
   これまで行われてきたタイタン模擬実験のほとんどは、タイタンの成層圏での反応を模擬したものであった。横浜国立大学小林研究室ではタイタンの対流圏での反応を模擬した実験を行った。ここでの主要エネルギーは宇宙線と考えられる。Taniuchiら[35]は、95%の窒素、5%のメタンの混合ガス(700 hPa)にVan de Graaff加速器(東工大)を用いて3 MeVのプロトンを照射したところ、複雑有機物(ソーリン)の生成が確認された。これを加水分解後に分析したところ、多種類のラセミ体のアミノ酸が検出された。出発材料には酸素源がないため、加水分解時にソーリンに水からの酸素原子が取り込まれたと推測された。これを確認するため、同位体ラベルした水(H218O)を用いた加水分解を行うことより、アミノ酸に含まれる酸素分子は水から由来していることを確認した。アミノ酸の材料となるメタンや窒素が成層圏よりも対流圏にはるかに多量に存在することから、対流圏で宇宙線により生成される有機物はタイタン地表に降り注ぐアミノ酸前駆体として無視できないことが示された。
   これらの実験の一部では、通常の化学進化実験で生成しにくいとされる分子が比較的多く生成していることが報告されているため、コンタミの可能性も考えられ、炭素同位体ラベル実験などでの追試が必要なものもある。しかし、タイタンを模擬した環境下でさまざまな生成方法によって地球上の生命が用いている生体分子の一部が生成されることがわかった。また、同様な出発材料を使用してもエネルギー源などによって生成するアミノ酸や核酸塩基の種類が異なっていることがわかる。どのような有機物が生成するかを考える上で、実験パラメータの選定はきわめて重要である。

a) Protein amino acids
figure8a
b) Amino Acids containing aliphatic hydrocarbons on their side chains
figure8b
Fig. 8 a) Protein amino acids, b) Non-protein amino acids containing aliphatic side chains. These experiments in the simulated Titan’s atmosphere showed amino acids could be easily synthesized.  
 

figure9
Fig. 9 Nitrogen containing heterocyclic compounds (including nucleic acid bases) detected in the complex organic compounds (Tholins). Nucleic acid bases as well as amino acids can be synthesized in simulated environments. However, uracil, thymine and guanine cannot be formed in the reductive atmosphere (nitrogen and methane). Their experiments could suggest these compounds can be produced in oxidative condition including carbon monoxide, water vapor and ammonia water.

タイタン液体圏における化学進化

   前章で述べたように、タイタン大気中での化学進化は、種々の模擬実験により調べられてきた。しかし、生命活動には液体(一般的には水)が不可欠であることから、タイタンで生命誕生に向けたさらなる化学進化の可能性を考えるには、有機物と液体との相互作用の研究が不可欠と考えられる。
   タイタン大気がエネルギー(紫外線、電子、宇宙線)に曝されることにより、有機物(ソーリン)が生成され、地表に降り注ぐ。これは地表に存在する非極性溶媒の液体エタン・メタンや、地下のアンモニア水と相互作用してさらなる化学進化をとげることが期待される。Kawaiら[34]はさまざまな溶媒へのソーリンの溶解性を調べた結果、疎水的な溶媒への溶解はわずかであるが、地下に存在するアンモニア水には、他の溶媒(メタノール、アセトニトリル、水)に比べかなり溶解することがわかった。Neishら[32]やPochら[31]の実験で、酸加水分解をしなくてもアンモニア水や水にソーリンを溶解するだけでアミノ酸が生成されることがわかった。
   タイタンソーリンの構造は窒素、炭素、水素からなり、前章でも述べたように、酸素分子は加水分解時や空気中に含まれる酸素や水分から取り込まれたと考えられる。気相中では様々な分子量を持った有機物が形成されたと考えられる。通常、アミノ酸の無生物的合成機構は、シアン化物、アルデヒド、アンモニアが水に溶けて生成し、アミノ酸前駆体であるアミノニトリルが生成する(Strecker反応)など、Figure 10に記すような単純な化学式で表されるようなものと考えられてきた。しかし、タイタンソーリンの場合は、液体に溶ける前にすでにアミノ酸前駆体が生成しているので、このような機構はあてはまらない。今後,気相中でのアミノ酸前駆体の生成機構の研究が望まれる。
   Kawaiら[36]は、ICP -RF放電で作成したソーリンをクロロホルムやヘキサンで抽出し、スライドガラス上で乾燥させた。これに10 mMアンモニア水を加え、蛍光顕微鏡で観察したところ、自己集合体 (疎水相互作用によって集まった有機物の小球)を確認した。タイタンソーリンは両親媒性の物質であり、親水基であるアミン基と疎水基であるアルキル基が含まれている。したがって、アンモニア水の中で外側が親水基で内側が疎水基である自己集合体が生成された。この結果は、ソーリンが非極性溶媒である液体エタン・メタンに溶解し、地下にある液体層が噴出した時にアンモニア水と相互作用を起こし自己集合体が生成されることを示した(Figure 11)。Kawaiら[36]は、クロロホルムやヘキサンにソーリンを溶解させる実験を行った。この実験では、ヘキサンのような完全な非極性溶媒にはソーリンの溶解が難しく、クロロホルムのような微極性溶媒にはソーリンが溶解することがわかった。温度と極性の観点から考えて、タイタンにおいて有機ハロゲン化合物(クロロエタンなど)が存在すれば、これらがソーリンの溶解に重要な役割を果たすと考えられるが、まだそれらの存在は確認されていない。ヘキサンで溶解した時とクロロホルムで溶解した時では、異なった構造体が見つかった。このことは、タイタン湖の溶媒の極性が生成される構造体にも影響を与えることが示唆される。
   このような自己集合体は、原始的な細胞膜の起源を考える上で重要であり、タイタン大気圏で生成した様々な分子がタイタン液体圏に溶解することにより、自己集合体を形成し、その中に種々の分子が濃縮され、さらなる化学進化の末に生命の誕生に至る可能性が期待される。
   タイタン地表の液体エタンやメタンの湖(非極性溶媒)では、逆ミセルの可能性が示唆されている。著書らの生成した自己集合体は、アンモニア水(極性溶媒)の中で親水基が外側で疎水基が内側の構造体である。逆ミセルは、著者らの生成物とは異なり、外側が疎水基で内側が親水基の構造体である。このような構造体をもった生命体がタイタンの湖に存在する可能性も考えられる。


Fig. 10 Conventional reaction mechanisms for amino acids synthesis

figure11
Fig. 11 Left: The Differential interference contrast (DIC) image when 10mM ammonia solution was added to tholins dried from a chloroform solution onto a glass slide (×400). Right: The Differential interference contrast (DIC) image when 10mM ammonia solution was added to the tholins dried from a hexane solution onto a glass slide (×400) [36].

まとめ

  タイタン上層大気圏の有機物に関する研究はSagan and Khare[11]が実験をはじめてから、さまざまな実験が行われてきた。Voyager 探査機・Huygens探査機によって新しい結果が見つかると、エネルギー・大気圧・組成等のパラメータや生成方法を変えて実験を行ってきた。また、機器分析の進化と同時にたくさんの方法が試されてきた。その結果、ソーリンは炭素・水素・窒素を含む複雑な有機物であることがわかり、地球上の生物が利用しているアミノ酸や核酸塩基がソーリンの溶解物から検出された。また、原始膜の自己集合体の生成が示唆された(Figure 12)。

figure12
Fig. 12 Scheme of chemical evolution on Titan liquidosphere [34]. Titan is considered to have lakes with liquid ethane and methane on the surface and ammonia-water on the subsurface. The organic compounds (Titan tholins) would be synthesized with irradiations of several different energy sources to the atmosphere (nitrogen and methane), which subsequently deposited on the surface. The organic matters then could react with the liquidsphere, and produce amino acids, self-assemblies and aggregates of the organic compounds.

   タイタンと原始地球はいくつかの共通点がある。どちらとも大気は弱還元的であり、タイタンは主に窒素とメタンが含まれており、原始地球は窒素と一酸化炭素が微量に含まれており、原始の海にはアンモニアが溶けて含まれていたと考えられる[37]。タイタンと原始地球は似ていることから、タイタンは生命の起源を考える上ではとても重要な衛星である。
   タイタン探査として、TandEM (Titan and Enceladus Mission)計画がESAとNASAを中心にして立案された。さらにこの計画と他の計画と統合されTSSM(Titan and Saturn System Mission)が提案された。着陸プローブをパラシュートによりタイタン大気圏をゆっくりと降下し、タイタン表面の湖に着水し、湖水成分を調べることなどが提案されている。現在は、JUICE計画などの木星系ミッション計画が先行しており、土星系ミッションの実現は現時点では不透明である。しかし、生命の誕生にいたる化学進化の痕跡を探すという観点からはタイタンは太陽系でもっとも興味深い対象であり、その実現が望まれる。

謝辞

  本論文を執筆するにあたり、タイタンソーリンに関する見識を得る機会を与えてくれたNASA Ames Research Center のBishun Khare 博士及びChris McKay 博士、一緒に研究を行ったSeema Jagota博士に感謝いたします。また、この分野に大きな貢献をしたBishun Khare 博士のご冥福をお祈りいたします。

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