参加者による報告

夏の学校との縁

竹松哲男
友の会会員 
  今年も「生命の起原および進化学会 夏の学校」に参加することができました。5年連続です。 東京理科大学 野田キャンパスで専門家を目指す若手の研究者の方たちの発表や先生方の講演を聞きながら、以前の自分を振り返って幸運に感謝せずにいられませんでした。
  私は現在72歳、親の仕事を継いだ街の印刷屋です。同期生たちは引退生活に入っているのが多いのですが、細々とでもまだ仕事を続けていられるのは有難いことと思っています。昔は仕事に追われる日々で自由時間も乏しかったのですが、20年位前からの日本経済の減速につれて仕事量も減り、生活の方は厳しくなってきましたが、その分自由時間の方は増えてきて、世の中悪いことばかりではないと思っているのです。本を読むのは子供の頃から好きだったので、美術、工藝、歴史、文学等々要するに文科系を主に、美術館や博物館にもしばしば通っていました。そんなある日、よく行く東京国立博物館の隣にある国立科学博物館にふと久しぶりに入ってみました。何の展示をしていたのかは忘れましたが、それこそカルチャーショックをうけました。今まで片手落ちの人生を送ってきたように思えたからです。科学博物館では、研究官によるディスカヴァリートークを土曜、日曜、祭日に1日当たり2つずつ行っています。1つのテーマで以前は45分でしたが、今は30分です。当然サイエンスの様々な分野に亘りますが、これに熱心に通う事になりました。あちこちの講演にも足繁くでかけました。その中でも一番心惹かれるテーマは、宇宙と生命の二語の中にあると思うようになりました。半世紀以上前1956年の高校1年の生物の授業で、東京教育大学(現筑波大学)の修士課程を卒えられたばかりのS先生が、教科書には載っていなかったミラーの実験について話してくださったのを覚えています。 その時はもうじき生命が出来るのではと高揚した気分になったものでした。ミラーの実験と同じ1953年に発表されたワトソン、クリックのDNA分子模型のことは記憶にありません。話して下さったのに私が忘れたのか、高1では難しすぎると思って話されなかったのか、今度お目にかかった時聞いてみたいと思います。
  2008年2月に日本地球惑星科学連合のホームページを見ていて、その団体会員の中に「生命の起原および進化学会」の名を見た時、こんなにも自分の気持ちにピッタリくる学会があるのかと嬉しくなりました。そちらに飛んでみると、友の会会員募集と出ていたので、期限は過ぎていましたが申し込んでみました。ほどなく当時の会長の池原健司先生から入会歓迎のメールを頂き、目出度く一員に加えて貰いました。3月に東京薬科大学で第33回学術講演会が開催されるので、そちらにも思い切って参加する事にしました。分からない事だらけでしたが、朝から三日間通い詰めました。同じ年の8月に八王子大学セミナーハウスでの夏の学校に参加したのが、私の夏の学校第1回でした。
  アマチュアで系統的な勉強をした訳ではないので、何かにつけ基礎学力の不足を痛感します。トイレにも生物、化学、物理、理科総合の高校の教科書を置き折々読んでいます。
  生命の起原を探るのは、分析と総合、微子と巨視の両方向を目指さなければならず、個人や小さなグループを超えたビッグサイエンスとして、世界中の研究者が奮闘してくれているのだと考えています。
  終わりによく理解したとは言い難いのですが、少なくとも2度は読んだ本のリストです。
「宇宙史の中の人間」 宇宙と生命と人間 海部宣夫 講談社α文庫
「生命の起原」 その物理的基礎 J.D.バナール 山口清三郎 鎮目恭夫訳 岩波新書
「生命の起原」 地球が書いたシナリオ 中沢弘基 新日本出版社
「経済・情報・生命の臨界ゆらぎ」複雑系科学で近未来を読む 高安秀樹/高安美佐子 ダイヤモンド社
「重力とは何か」 アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る 大栗博司 幻冬舎新書

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