一般講演16

Glycine Riboswitchの作用機構についての研究

濱地 心
東京理科大学大学院基礎工学研究科 生物工学専攻
  現在発見されている地球上のすべての生物は、DNAやRNA,アミノ酸の鎖であるタンパク質が 互いに役割分担を行い、高度に連携することで生きています。しかし生命誕生の前後から今のような洗練されたネットワークが存在していたとは考えづらく、よりシンプルなシステムが提唱されてきました。その中でも現在、有力視されているのがRNAワールド仮説です。これは原子地球においてRNAだけからなる自己複製系が存在したとする説で、触媒活性を持つRNA、ribozymeの発見などにより、RNAが遺伝情報と酵素活性の両方を持ちうる事が明らかになったことで提唱されました。 現在までに様々な機能を持ったRNA分子の存在が報告されていますが、その中でも私は遺伝子発現のスイッチとして働くRNA、リボスイッチをターゲットとして研究を行っています。  
  リボスイッチはmRNAの非翻訳領域に存在する機能性のRNAで、特定の物質を認識、結合することでその立体構造を変化させます。そして物質との結合の有無によってmRNAにコードされているタンパク質の合成を制御しているのです。RNAワールド時代の遺物として注目を集めているリボスイッチですが、詳しい作用メカニズムはその多くが謎に包まれたままです。
;私が扱っているグリシンリボスイッチは、名前の指すとおりグリシンと結合することでタンパク質の合成を制御しています。しかしグリシンと結合することでどのように立体構造が変化するのか。スイッチ機構の仕組みはどのようになっているのかなど重要な部分は全くわかっていません。  
  そこで私はまず、グリシンリボスイッチのスイッチ機能の核と推測されている部分に焦点を絞り、その物性を様々な角度で評価するというアプローチからリボスイッチの機能の一端を明らかにしようと考えました。研究の結果、現在までにこの部分が様々な環境に応答して柔軟にその構造を変化させるということがわかってきました。今後はこの評価を更に詳細に進める一方、物質を認識するアプタマー部位とスイッチの役割を果たす部分がどのように連動しているのかという点でも解析を行いたいと考えています。

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