一般講演11

原始的な植物C. merolaeの逆転または高度分断化tRNA遺伝子の解析

○相馬 亜希子1, 3、菅原 潤一2、小野寺 瑛宣3、谷内江 望2,4、金井 昭夫2、関根 靖彦3
1千葉大学、2慶応大学、3立教大学、4トロント大学
  強酸性の温泉に生息する極限環境微生物Cyanidioschyzon merolae 10Dは、16.5MBという小さなゲノムをもち、核、ミトコンドリア、葉緑体一つずつからなる、きわめて単純な細胞システムの特徴を示す単細胞植物である。C. merolaeの核ゲノム配列の解析から、tRNA-splicing machineryに依存したRNA プロセシング機構により成熟化する、2種の新奇構造をしめすtRNA遺伝子群を同定した。
  permuted tRNA geneは、円順列変異 (circularly permutation)により、tRNAの3’側半分が5’側半分の上流にコードされた逆転構造をもつ。当該遺伝子から転写された前駆体tRNAは、環状のRNA中間体を経て、機能的な成熟体tRNAにプロセスされる。すなわち、RNAの配列の順番を“入れ換え”、DNAに書き込まれたデザインとは異なる末端を作り出す。前駆体のプロセシング部位は、tRNA イントロンを切断するsplicing endonucleaseによる認識モチーフを形成することから、この過程にはtRNA-splicing machineryが関与すると考えられる。
  加えて、複数のイントロンの挿入により高度に分断されたtRNA遺伝子を同定した。クローバーリーフ様構造のさまざまな部位に、複数のイントロンを含むtRNA遺伝子は、真核生物では初めての例である。プロセシング中間体の解析の結果、複数のイントロンは、ある順番にしたがって除去されることが分かった。
  C. merolaeの核コードのtRNA遺伝子の8割は、逆転または分断構造をとり、いくつかは同時に両構造をもつ。原始的な真核生物のコンパクトなゲノムにおける分断化tRNA遺伝子群の生物学的意義の解明を目指し、解析を進めている。

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