一般講演4

アストロバイオロジーの天文学的アプローチの紹介

鈴木大輝
総合研究大学院大学 天文科学専攻
○天文学的なアストロバイオロジーの研究背景
  時間をさかのぼっていくと、現在の地球上の生命の祖先は非常に単純なバクテリアのようなものだったはずだ。そしてその生命も、地球上でアミノ酸や核酸が化学反応をした末に発生したと考えられる。このような生命のもととなる分子はどうやって生まれたのだろう。
主流な考え方:宇宙で生成された有機分子が地球に運ばれ、生命のもとになったのでは? しかし、生命にとって重要な有機分子が、本当に宇宙にあるのか?それを探すのが天文学の役割です。

○アプローチ方法
量子力学によると、それぞれの分子は固有の振動数の光を発したり、吸収したりする。事前に研究室で実験を行い、どの分子からどの振動数の輝線が出るかを調べておく(これは化学の分野の仕事)。天文学では、分子雲からどのような振動数の光が出ているかを観測し、既に分かっている分子輝線のデータと比較することでどのような分子が存在するかを調べる。輝線の強さやドップラー幅から数密度を計算し、進化モデルを議論することもできる。

○これまでの成果と今後の展望
観測技術の進歩により、これまで検出された分子種は大幅に増えた。総数は120を超える。例えば、メタノールのようなアルコール類、酢酸を始めとするカルボン酸、最も単純な糖類であるアミノアセトニトリルなども見つかっている。

今後の展望
もっとも単純なアミノ酸であるグリシンや、生体にとって重要な核酸は未検出。複雑な分子ほど数が少なく、また実際の観測にはノイズ(誤差)があるため、それを抑えた高い精度の望遠鏡が必要になる。これまでの望遠鏡では、この点で限界があった。

しかし…
今年からチリの大型干渉計、ALMAが観測をスタート。 大量の望遠鏡でこれまでにない高精度観測を達成。 有機分子の検出でも活躍が期待される。
重要な生体分子が検出される日も近い!かも!

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