一般講演3

太陽系外惑星における光合成生物の存在可能性と観測可能性

滝澤謙二
基礎生物学研究所 環境光生物学研究部門
  植物や藻類が行う光合成反応は豊富に得られる光エネルギーを生物が利用可能な化学エネルギーへと変換し、地球上を覆い尽くすほどの生物の繁栄を可能にした。こうした光合成生物は太陽系以外の生命居住可能(液体の水が存在する)惑星においても存在可能であろうか?もし存在するとすれば、それは地球から観測可能であろうか?
  宇宙に存在する恒星の多くは太陽よりも温度の低い低温度星であり、その周辺の生命存在可能領域で得られる光は可視光が少なく近赤外線が大部分を占める。少ない可視光であっても効率的に集光すれば地球上と同様の光合成反応を駆動できるため、可視光を利用する生物が存在する確率は高いが、多量の酸素発生や陸上植生の発達が見込めず、地球上からの観測は見込めない。光合成生産量を上げるためには光量の多い近赤外光を利用する必要がある。光子あたりのエネルギーが低い近赤外光を利用して光合成反応を駆動するためには1)エネルギー消費の少ない効率的な反応を行う方法と、2)多数の光子を連続的に投入する方法の二つが考えられる。地球上のような環境変動の大きな場所では光合成機構の柔軟性(安全性)が求められるため効率の低下が避けられないが、潮汐固定により日周変動の無い惑星など、より安定した環境下では高効率の反応系の構築が期待できる。三段階以上の多段階光励起反応は近赤外光利用に最も適した形態の一つであるが、反応機構の複雑さに加えて進化経路の複雑さが予想されるため実現が困難である。

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